9月号
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秋の水々しさを岡山の白骨冗生より毎年送ってこられる伯萄は、同くてたわわに実り、一粒一粒がつややかで、宝石のように姉いているあらゆる果物の中で、一番美味しく、結麗な姿ではないだろうか。摘みたての新鮮な果物でも、花と合わせていけたいと回心う場合とそうでない場合とがある。傭萄は実も柴も形が良くて水々しく、とり合わせた花をも引き立ててくれる所に魅刈があると間心う。この立派な実を待っていたかのように、庭で青々と育ち、どんどん成長する大切な葡萄の葉を切って添えた。実と葉が揃っても太い幹がない。備萄の木のような凸門のあるくびれた形の器にいけてみた。赤ワイン色のガラス花器だが、大小使うと、重たい実も支えることが出来るし、バランスもよい。円が広くて細い茎は止まりにくいので、大きいガラス器の中にスマートなワインボトルを仕込んで、そこから葡萄の葉の蔓とオンシジュウムをいけている。とり合わせる植物や実によって、いけ方は色々と工夫しなければ、平凡に終わってしまう。情倍をいただく迄のほんの少しの間だけのいけばなだが、花も葉も実も生き生きとして私達に一足早い秋を感じさせてくれた。〈表紙の花〉−瓶を棲子エメラルド・ウェーブ〈2頁の花〉この波打った葉は、島大谷渡りの園芸品種でエメラルド・ウェーブと呼ばれている。業の縁が激しく波打っていて、柴先が急角度に山がったり、螺旋状に向転したりしている。海の昆布をキユツと縮めたような印象の葉である。前後にゆった内奥行きをとって立ててみると、そう深くない海の底で太陽の光を、つけてキラキラ輝いているようにも比、える。島大谷渡りは熱帯アジアから太干洋諸島に分空9る常緑の羊歯の仲間で、チャセンシダ科アスプレニウム属の観葉植物である。エメラルド・ウェーブほどきつくはないが葉は波打ちながら放射状に伸びる。谷渡りの胞子が業裏の全面に若くのに対して、島大谷渡りは葉裏の先に胞子袋がつくので区別される。島大谷渡りの新芽はお反しゃ味噌汁の具、妙め物などで食べられるそうである。「花ふたり旅」ではよく似た小型の谷渡りを使って、父がスイスでゼラニウムを根締めにして生花にいけているが、爽やかな空気を感じる位葉の黄色いリユカデンドロンと純白のデンファlレをとり合わせて、白いガラス花持にいけると、遊み切った透明戚苧」感じるいけばなになった。仙渓a2

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