9月号
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えみ〈り八月に入ると也黙は誰も寄せつけまいと鋭い臓を逆立て、固い表情で枝にしがみついている。だがその姿はユーモラスでもある。栗の笑が大きくなって臨が少し割れたのを笑栗と云い、留がはじけてあたり一面に落ちた実を落おち栗ぐりとよんでいるが、栗の実一つにきえ季節を読みとろうとする繊細な心が与えた呼び名なのだろ、っ。栗は胤科に属していてヨlロッパ、北アフリカ、アジア、北アメリカに広く分布しているが、日本には原産種として日本栗が北海道から九州に到るまで広く自生している。野生種の実の小さいものを志黙とよんでいるが、いけ花に使うのはこの野生の芝栗である。芝栗は季節感は豊かだが、切花として手に入るものは枝ぶりが単調なので実付きの多いものを選び、枝取りを工夫して前後に寒行をつけながらいける。とりあわせは初秋を感じきせるような草花を二種か三種選び、のびやかにいけられた栗の枝にそえるのが一般的ないけ方である。初秋の栗は自然調ないけ方がよいだろう。花材芝栗黄花透百合桔梗花器褐色粕金線文深鉢芝栗6

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