9月号
318/608

最近生花の花器として、ガラス器がよく使われるようになった。ガラス器は日本にも古くから少量輸入されていたが、口世紀後半ヨーロッパのガラス工芸の技術が導入きれてから圏内でも生産され始めた。当時はまだ生産量が少なかったせいか、新しいもの好きのいけ花界でも花器として利用されていたのではあろうが、作例としてはあまり残きれていないようである。生花に使用されるガラス器は主として水盤かコンポートで、花瓶型の花器はあまり使われていない。私はガラス器の中でも、とくに無色透明なカットグラスが好きだが、生花のように、足もとが一つにまとまるものは、剣山その他の花留を、おおいかくしやすいので使い勝手が大変よい。作例の出悲の生花は、八月中旬にいけたものだが、真、副、留だけは型通り挿し、あとの葉組は格からはみだきない程度にそえ、賞色のテーブルマットを使った比較的自由な型の明るい生花である。カットグラスの生花10

元のページ  ../index.html#318

このブックを見る