9月号
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川町生官FBアメリカ芙えの乙ろ草花器榔子の実編篭ι正10LVζの掛け花を吊った壁は台所の改装のついでに古い家を住みよく使うのは中々むつかしいものである。長年馴染んできた家の一部が傷んできた時、その感じを損わずに前よりうまく使える方法がないか、と誰しも思案を重ねるものである。だが便利さと、古くからあるものの良さとは両立し塗り直させたが、元々は京都式の通り庭の一部で、竃(かまど)が据えられ、井戸から流しと続く炊事場の,桝主だったのである。天井はなく大屋根の裏まで吹き抜けになっている。だから乙の壁も高さが8mもある。何か飾りがないと、のっペらぼうで恰好がつかないのでいつも花をいけている。庭の花や稽古の残り花で充分との壁がひき立って見える。今日は朝咲いたアメリカ芙蓉を一輪と、えの乙ろ草に庭の薄の葉をそえた。花器は南太平洋の島で買ってきたもので、榔子の実の半割を底にして上はニッパ榔子の葉を編んで提げ紐のついた篭である。と乙ろで外国製の民芸品を花器に使う場合間接水をいれるのは禁物である。急に水気を含むと大抵割れてしまう。木製品に限らず陶器でも焼きがあまくて内側から水がしみ乙んで変色した上にいつの間にか漏れはじめ気のついた時はその辺が水びたしになっている。だから必ず適当な大きさの落しを使って花をいけている。アメリカ芙蓉は芙蓉とはいうものの、モミジアオイと同じく、北アメリカのジョージア州やフロリダ州に野生しており両者の交雑種も多い。花色は白、ピンク、赤等があり、花の直径も大きいものだと別個位になる。写真のアメリカ芙蓉は自に近いピンクの花弁で中心部が赤い。庭の木植を大きくしたような花なので茶室には向かないが、通り庭の大きな空間にはよく合っている。通り庭の壁蓉2

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