8月号
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かわらなでしこほざきななかまど河原撫子をとりあわせると梅雨が明けそうな頃、むし暑い日が続く。何をいけてもどことなくすっきりしないとき、河原撫子をそえてみると、すっと爽やかな感じになることがある。これは河原撫子に限るようである。仲間には高嶺撫子、信濃撫子、髭撫子、龍田撫子、伊勢撫子、他に小輪ので一重のスプレー−カーネーション等大勢いて、どれもこれもかわいい花なのだが河原撫子の代りにぴったりと合いそうなのはいないようである。穂咲七竃は七|八月に白い涼しげな小花が枝先にかたまって咲く。中国では「珍珠梅」とよんでいるのが本種で青森県の下北半島から北海道に自生し、朝鮮半局、中国、モンゴルにも分布している。ところが「珍珠梅」として売られているのは中国から渡来した庭七竃であることが多いようである。作例は段九十九をとり合わせ、形の整った床の間向きの盛花である。日本家屋は軒を深くとって室内は夏の強い日射しにさえぎられている。床の間の横の書院窓から入ってくる光の量は、夏なら賛戸、冬は障子を通してやわらげられ、掛軸ゃいけばなは適度の明るさ、或は適度な暗さと云った方がいいのかもしれないが、その中で見られるように育ってきた。だんつくもひざすど4

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