8月号
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手のある花器、窓のある花器の種類がいろいろある。竹器、篭、陶器、瓢などには、手によって作られる輪郭の中にいけばなの花形をおさめる場合があって、特殊な考え方と技法によってその花器に調和する花形を作る乙とになっている。ととに生花の場合には、手のある花器のその輪郭の中へ花形をおさめる乙とになり、乙れが中々むずかしい。ととにある写真は、白竹の篭花器だが、大きく広い手の形の中に生花(カユウ、キキョウ〉を活けて、その花形が篭の手の輪郭の中へ調子よくおさまる様に、真、副、留の長さを考え花形を作っている。古くから生花の中に、窓の花、また卓下(しよくした)の花などといって、区切られた空間の中へ花形をおさめる手法がある。小品的な意匠花だが、古風な感じの中に中々面白い考え方の生花である。区切られた空間の中で生花の花形を作る乙とは、技巧的にもむずかしいし、花器によく調和する乙とを考えねばならないから、全く特殊な生花といえる。牡丹篭や丸い瓢の花器の様に、区切られた空間の中にひきしまりのある花形は作りにくいものであるが、吉た、それだけに花を引き立てる生花となる。寒牡丹、水仙、かきっぱた、寒菊、つばきなど、小品に活けるのに面白い手法といえる。また、中高の卓や高卓の下に花器を置き、花を活けるのも乙れと同じ関係となる。卓の両横の住によって区切られた空間の内部に花を入れるζとになる。花を活ける~ 毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1980年8月発行No. 206 いけばな輪之郭くの中

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