8月号
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専渓R 中々材料が手に入らない、というのが普通である。趣味で栽培する人も少なく日本の花の中でも珍しい、といえるほど見る機会が少ない。作品材料がその八重咲花菖蒲であったので、早速ながら金森さんの紹介によってその花菖蒲を栽培されるお宅(宇治市神明宮、鳥島正二氏)を訪問した。しい市街地と田畑が入りまじった土地だったが、丘陵地帯の斜面に甘薯畑がいちめんにひろがり、そのひろがりと山裾のかんぼく地帯の接点と思われるところに、この花菖蒲の畑があった。50メーターほどの長さの畝に白色、紫、赤八重咲きの花菖蒲を活けたい、と思うのだが六月の研究会(かよう会)に金森慶和さんの宇治駅から4キロほど離れた低い丘にある新なだらかな丘陵にいちめんの甘藷畑があって、その末の小川にそうて花菖蒲が咲いていた。六弁の大輪の花は直径15センチほどもある見事な花だった。白花の花菖蒲を生花に活けた。立体の花形は清楚な感じである。紫しぼりの花など、多くの種類があって、三弁、六弁の花が美しく咲いている。花期が少しおそく、すでに盛季をすぎていたのだが、それでも美しい八菫咲の花が咲いており、中には珍しい品種の花もあって、趣味の園芸として栽培される見事な花である。鳥島氏の栽培のお話をきき、また写真にとったのだが、Rcの写真は附近の金森さんのお宅で挿花したときの写真である。(金森氏撮影)この花菖蒲は軸も太く花首もしっかりしており、花弁もぶ厚く大きい。色も濃艶である。日本の花の清楚さよりも、洋花の華麗な感じ、そんな派手やかな印象をうける花である。鳥島氏の御厚意に感謝しつつこの稿を書く。c 八重咲きの花菖蒲8c@ R

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