8月号
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稲田の間を流れる水路の中に野生の河骨が咲いています。時期が少しおそく花も少いが、それでも百本や二百本の花は立ちどころに採集出来るという好条件です。群がった芦やまこもの下に咲く黄金色のこほねの花、緑の葉、いかにも新鮮な手ざわりです。水路にそうて横にひろがって、思い思いの花と葉を採集する会員の皆さん。それをひとまとめに運ぶ人達、一本一本切りとったのだが、集めれば相当な分位になって、それをござに巻いて畦道づたいに二、三丁ばかり、瀬律氏のお宅へ帰る。家に帰ると早速、水揚にとりかかります。すでに作っておいた水揚液を注入ポン。フで河骨の足もとから注入する。瀬津さんの表先は朝市のようなおお騒ぎです。河骨は池沼、流れ川の砂地などに野生する水草ですが、根茎が白く水にさらされて骨のように見えるので、河骨という名があるのです。葉の水揚が悪く切りとってそのままだと一時間程度でしおれるので、葉に水⑤ 揚液を注入して日持ちをよくさせます。水揚薬を入れると三日間程度はもちます。左下の写真はひらき葉の一本一本に水揚液を注入しているところですが、葉先まで液の行きわたるように静かに注入します。採集したひらさ葉百数十本、巻葉五十本、花五十本にそれぞれ液を注入して、すっかり終ったのは正午前でした。野川にあった河普が、すっかりいけばな材料の姿になって、水揚をして水桶につけこまれた状景は、活々として新鮮な感じです。

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