8月号
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`~ c掲色の広口花瓶にヤハズのススキ(段ススキともいう)、ジラボシカユウ、カラジュームの三種を活ける。やや小品的な感じだが夏の瓶花として清涼な感覚の花である。ススキの葉を軽く花葉の前ヘ重ねて、奥深くカユウを入れた。前方に入っているのはカラジュームの葉2枚、後方はシラボシカユウの葉である。同じような形の葉ではあるが、花形をよくするために二種類の葉をとり合せた。ススキには「青葉のススキ」「シマススキ」「ヤハズのススキ」などが一般的で、漢字では「薄」又は「茫」と書く。「かや」ともいわれ、これで農家の屋根をふき垣根の材料としても使われることが多い。秋日に花穂が出てこれが尾花ということになる。野生のススキは水揚の悪いものだが、山にあるススキは葉もうすくするどく、形としてはよいが水揚が悪い。農村のあぜ道に茂っているようなものは葉も肥えて広く、たっぷりとした水分を持っているので形がよくないが水揚がよい。庭のススキは太く柔らかく、水揚がよく理想的には手近かの庭のススキが材料として適している。⑪ハナバショウと一般的にいわれているこの花。ふとく大きい朱色の花で葉はバショウに似ているが、いけばなには花の部分だけを使うのが普通である。よほど注意しないと俗悪になりやすい材料で、大輪咲きのアンスリーム(赤色)と同じように、警戒を要する材料である。首もとから下部が美しくないので、この部分をおおいかくすように、モンステラの葉を入れ、たっぷりとした緑を前へ祖ねて、またハナバショウのおお味な形に調和するように考えてある。ハナバショウとモンステラニつとも強い幽じの花材で、それなりによく調和するが、この強さだけでは変化に乏しいので、反対に軽快な感じの細い茎、アリアムの曲線の面白い形のものを加えて、強き花と葉に、やさしく細々とした茎を加えて「反対の調」とでもいうべき、調和の面白さを考えてある。淡掲色のたっぷりとした花瓶に活けたこの瓶花は、普通の瓶花とは違った創作的な作意のある作品、ということが出釆るだろう。「酷熱の夏を象徴する花」ともいえるだろう。5 c⑪ 曇ススキハナバショウシラボ、ンカユウカラジュームモンステラアリアム

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