7月号
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Rフトイ、ササユリの二種の盛花である。黄土色の変形の水盤に淡泊な感じに活けた盛花。フトイは池沼に野生し、ササユリは山の自然の花であって、こんなのが自然趣味の盛花ということになる。昔のいけばなでは水草と山草とは―つにしないという考歪方があったが、今日の瓶花盛花ではそんな規定はなく、配合は調和のよいものであったならば自然趣味の場合も、栽培植物の場合も自由に選択配合することになっている。フトイの細い茎を通して見るササユリの花と葉は、形もよく清爽といった感じのする六月の花といえる。のびやかな活け方、フトイの線の配列、みずぎわの百合の花、ゆったりしている中に注意を行きとどかせた花といえる。足もとの剣山が見えるので、小石の美しいものを株もとにかぶせて水ぎわを整えた。砂を使う場合は剣山の釦の間に入らない程度の荒めのものがよい。R同じ盛花(フトイ、ササユリ)にキキョウを万本加えて三種に作りかえた。この三種は性質も色彩も調和のよい材料であって夏らしい清涼な感じの花である。盛花でも瓶花でも、その作品が結果的によくなるか、悪くなるかは最初の材料の選択配合と花器の選び方にある。趣味がよく目標がはっきり定っている場合には、ほとんど成功するのだが、多くの作品の場合、この最初の考え方が間迩っているもの迷っているものが悪い結果となることが多い。注意して欲しい。cナルコユリ、ヒマワリの二種を平らな花器に低くならべて挿した。平面形という形式の盛花である。足つきの腰の上った花器に盛りあげるように活けた盛花。黄掲色の花と緑と白の葉ものの取合せ。ひまわりの葉をすっかりとり去って花を並列して挿してある。c 6 R

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