7月号
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撫畜「自然趣味」という言葉がある。自然とは天然そのままの状態で人工の加わらぬさまである。植物でいえば山野水辺に野生の草木ということになる。國芸技術で栽培したものは自然植物とはいえ汰い。趣味とはものの味わい、おもむき、おもしろみのことであって、感興を感じさせる状態のことである。いけばなの中で自然写実風の作品を「自然趣味」の花、といわれるが、いいかえれば目然の状態を写実した作品、自然草木の中に趣味のある材料を選択取材して活けるいけばな、ということになる。しかし盛花耽花の場合、たとえばキキョウ、オミナェシ、ヒメユリ、ショウプ、タケシマユリのように、それが栽培の花であっても、本質的に野生の花である場合は、これを自然の花として考えることになっている。学問的にいう自然と、花の芸術として考える自然とは、そこに少しのへだたりのあることを知る必要がある。cの写真はショウブ、ナナカマドの二種の盛花で自然趣味の盛花であるが、フトイを一本だけ加えて風雅の味わいを出している。をcのハナジョウプの盛花と、⑪のケシ、キキョウ、ササユリ三種の盛4ページのRの盛花の横長の水盤花の花器に使ったが、この三つの盛花を比較して花形を考えてみよう。ナナカマド、キキョウ、アザミのc 盛花は低く左右にのびた花形、ショウブ、ナナカマドは背高く作った形ススキ、ユリ、ケシの盛花は中段程度に上方にのびた形である。(洋種のアスパラカスを使ってある。)花器もいろいろな使い方が出来る。⑪ささゆりすすきけしアス。ハななかまどささゆりききょうあざみななかまどcはなしょうぶななかまどラカス\\ / 5 翁'`裳\ @ R -----.. .

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