7月号
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毎月1回発行盛花瓶花の作品の中には、いろいろ性格の違った作品がある。草木の自然趣味を主において風雅な味わいをあらわそうとするもの、色彩的に特徴をもつ作品、また、ここに掲載した写真のように感覚的にはっきりとした個性をもつ作品、いろいろなあらわし方がある。アリアム、アマリリスのこの盛花は材料のもつ花茎の線の特徴を結びあわせて、はっきりとした線の美しさを表現しようと考えて作った盛花である。二つの材料の曲線と直線が重なりあって流暢な美しさの中に作者の考案がはっきりと出ている作品といえると思っ。花材の個性を選択してその結合によって別の新しい感じを出そうとする、そんな考え方である。黒い花器にアリアムの緑青とアマリリスの白に紅色の線条のある花。色彩的にも美しい花だが、この盛花のねらいは「新鮮、明快、そして創作的」であることである。右方へ長く立ち登らせたアリアム1本、後方に出した茎の花頭を切りとってあるもの、アマリリスの1本は裔く、1本は低く配置の変化を変えている、など、いろいろ工夫を加えて作った盛花である。桑原専慶流No. 109 (アリアムアマリリス)編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専腹流家元1972年7月発行盛花の創作専渓いけばな

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