7月号
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黄土色の陶器の花器、形としては普通だが、穴のあいているのが面白い。宇野仁松氏の作品で落若きのある感じの中に、明るい意匠のある壷である。口もとが細いので花材の太いものは入らない。軽い花を入れて花器との調和を考える様にすると而白い味わいがみられる。バラのクリーム色2本、紅色3本を左右にわけるように、中央に空間をあけて挿したが、花形も材料も単純な慇じだが、花器によく調和しているところに花と器の選択がある。花器の下部は小さく上へ登るにつれてふくらみ、中央部から上へ段々と細くなつてゆき、そこからバラの緑の葉がひろがつて、V字型の花形を作つているのだが、この様に花器の形に調チを合せて、ふくらみとくぽみの組み合せを考えると、花器と花とが一体となつて、全体を構成することになり、簡単な瓶花の様であっても‘―つの計算のある瓶花となる。いけばなはどの場合でも花の形だけを作るのではなく、色調と花のうるおい、さらに花器との綜合的な形の調和ということが大切である。花器バラ一種(クリーム色・淡紅色)黄土色変型花瓶12

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