7月号
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8・R白竹であんだ胴張りの篭、「かつら篭」という。広口で花が入れやすい。魚篭からの意匠らしいがなんとなく野趣があり、反のいけばなにふさわしい篭である。大きく花を活けることもでき、また小さい投入れにもよく調和する。これに花は「ふとい、あざみ、やまなし」い茎には褐色の花房がかなりひろがつて、あざみの紅色、山梨の葉は白緑にすがすがしい感じがする。渓流3種を活けた。ふといの細の初夏をおもわせる様な意匠的な花といえる。篭は晩春のころから及かけて、紅葉の秋まで、その季節にふさわしい花器だが、ことに白竹の篭は夏の花器といわれるほど季節感のある花器である。これにくらべると黒褐色の篭は、冬にも使うことができ、椿、温室咲きの牡丹などよく調和する。透明のガラス器、白竹の篭、白磁の壷、染付(そめつけ)の壷などは、夏季にふさわしい花器といえる。る6月まで新鮮な感じの材料で、ど写真の瓶花は、中筒に剣山を入れ留めたが、丁字留も一部分に使って、軽やかにさらりとした調子に挿してある。山梨は木肌が梨によく似ているのでこの名があるのだが、3月頃に白緑の若芽をみせ、葉のひろがの花とあわせても調和のよい好ましい材料である。白竹の篭に新緑の葉、細いふといの茎、あざみの紅がその中にきわ立った色をみせてすがすがしい感じの花である。A B Rこの篭は手つきの平篭(ひらかご)で褐色の野菜かごといった感じのものである。低い銅の落しを入れて剣山で留める。この絵は7月に写生したもので、庭の花を切りとつて気軽な感じで活けた、そんな調子の花である。澄の手の中におさまる様に入っているのだが、篭の内部を半分ほどみせて、この部分はあみめがみえている。花は「百日草、ストケシャ」の2種で、ストケシャは六月より九月まで咲く栽培の洋花で、北米原産の宿根草である。淡い青色の花が百日草の赤と配合して、この花はいかにも庭の花という感じが深い。珍らしい花とか、上品な感じとかそんなむづかしい思いがなく、手近の菜園から切りとった、みずみずしいうるおいのある花、こんな気軽な花もまた楽しいものではないか。ただ、切りたての新鮮さがあるということ、これがこんな花の生命であろう。... 聟

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