7月号
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4階のエレベーターのドアが開くと教場の花の香りが漂っている。六月、七月は百合の匂い。とくに笹百合は梅雨空の曇り日にはしっとりと品良く匂い、晴れた日には明るく香る。笹百合は香りも活かして見せたいような風情の花である。アスチルベはヨーロッパで日本の峨齢制和と中国のアスチルベンシスを交配され、更に税制和も加えて作られた園芸植物である。白、クリーム色、ピンク、赤、暗赤色、そしてそれらの中間色と花色が豊かだが作例に使ったのはクリーム色がかった淡いピンクのアスチルべで笹百合の色との僅かな色彩の差が柔らかな雰囲気を作り上げている。この配色には強い緑を使いたくないので、黄緑色の小葉の山ゃょ板いと屋や楓か$、を左側に大きく、右側には悪行をとるような挿し方でアスチルベの後に低く添えている。とり合わせた花材の出和な色調をふんわりとした花明で包みこんだ盛花である。花器は硬質な感じの染付だが季節を考えて鉄線の絵柄を選んだ。花材笹百合花器芳香・キネアスチルベ山板屋楓染付横長水盤4

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