6月号
93/566

ぐ膏R階下の座敷、床には東福寺晦宗の書「遠山無限碧層々」の書軸をかけ、花はかきつばたの葉、ききょうを配合して荒目の篭に活けた。五月の庭に調和した床飾りといえる。c二階の窓をあけひろげると、めじのとどく限り緑の楓である。それを背景にして、逆光の花を活ける。紫花のてっせんに庭の紅しだをあしらって白い上ぐすりのある壷に入れる。緑の楓の色を背景にした濃い紫の花は、清爽とした初夏の感覚であヽ.吃'・る。机の上の光も緑いっぱいであ。る⑪玄閃は四岱半、その一部にガラス窓があって苔の庭が見える。二枚折りの屏風をとってもらって写真をうつす。玄関は小品の花がよい。淡い掲色の耳附花瓶に庭の楓を一枝、それに姫百合を三本ばかり入れる。ガラス窓の光をうけて美しい色である。R二階の床は琵琶床(びわどこ)である。天井のひる<ぎにくさりを⑨ かけて篭の花器をつりさげた。花器は唐人笠(とうじんがさ)という掲色の篭、花はコデマリ一種。花頑窓(かとうまど)の障子から光をうけて、シルエットの花の形が美しい。窓外の緑の樹木と対照的である。R敬子さんの部屋である。北向きに面しており、静かな風が樹間を伝わって入ってくる。この部屋には少し大ぶりの壷に白菊を五本活けた。窓の光りをうけた純白の花が清浄な感じにみえる。この庭の向うにある竹林を越えると草むらの中を洗玉潤の谷川へおりることが出来る。このお宅は純然とした和風の建てものである。附近の環境とよく調和して、入口の篠竹の露地から玄関の黒い敷き瓦など、風雅なたたずまいである。庭の楓樹は四季に姿をかえ、落葉の季節には樹間を通して寺院の築地塀や破風造りの屋根が見え、臥雲I '. 梢R を渡る人の姿も座敷からみえて、一層雅趣があるとのことだが、近頃、だんだんと混雑する市中から少し離れると、このような静寂な環境をみることの出来るのは全く京都らしいと思つのである。今日、小西氏に頻んで以上の写真を作ったのだが、緑の庭を背景にして「逆光の緑」という状況を意識して写真にしてもらった。暗い写真の多いのはそのためである。シルエットの花の写真を作ることが目的だったのである。(専渓)R ',y・ \ 』、.l. , ~_, ・'... ヽご・ヽ,r.. 貴入、` ,. . . .. -:""'::t、' a ~. 、-... -ヽ`ぐ~・..-~~ ● 1 !, , 11 饂•

元のページ  ../index.html#93

このブックを見る