6月号
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Rあづき色の光沢のある壷、おとなしい形だがよく整った形である。これに紫ショウブを三本、庭の秋田ぶきの葉を三枚添えた。簡単な花だけれど、ショウプの花の高さ葉のならべ方、葉と葉のすきまなどで形が作られている。たっぷりとした黄みどりのフキの葉は一枚を右へ出して副の位置に入れ、中央の一枚と左方のみずぎわに一枚入れて葉を重ねてある。みずみずしい初夏の花といえる。五月から六月へかけては花材もさっぱりとした感じのもの、色も淡泊なものが季節的に好ましい。c利休梅(りきゅうばい)という五月に咲く白花のかんぽく。うのはなとよく似た庭の花で水揚げのよい材料である。百合はスカシュリの園芸変種で、近頃こんな種類の新種のものが増してきたようである。鬼百合とすかし百合の交配種らしいが花つきの形が悪く活けにくい材料といえる。これとよく似た「車百合」というのがあるが、これはうつむきの花で形もよく花色も朱色で美しい。掲色の壷に入れた二種の瓶花だが、留の利休梅を下に垂れさせて変化をみせた。Rあけびの荒目の手提篭。これを横向きに使って手を左右にひろげ、装飾的な用い方をした。左右の手が全体の形に変化をみせて面白い。篭の形にバランスを考えて、テッポウユリの開花を中央に立て、つぼみを前へ傾けて、横へ出さない立体の花形。足もとに紫紅色のタマヤッッジの開花の枝を庭から切りとって、訊方に低く挿し、左下の一輪の開花は位置も変調だし色の配置も変って見える。前からみると平凡な手提篭だが、こんなに横に向けると案外、面白い感じにみられる。⑪これから夏へかけては庭に切ることの出来る材料があると、忌いがけない楽しい花が作れる。しまがやの若葉を切りとって、紫花のてっせんを添えて二種配合の瓶花とした。まっ白の花瓶、口もとが狭いのだがこの程度の細い材料だと入れやすいてっせんの濃い紫の花の上に、緑に白い線のあるシマガヤの葉が重なって新鮮な感じの花となった。手軽るく活けて引き立つ花。これは活ける技巧よりも考え方、配合に重点のある花ということができる。庭から切りとったかやは、ことに日持ちがよい。.. 6 .... @ @ ...

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