6月号
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Rハナショウブ一種の盛花である。ジョウプは四月中旬頃から花屋の店頭で見ることができるが、紫花白化のこの種類は花も貧弱で葉も細く短かい。早牛種のあまりよい花ではない。六月に入ってから咲くハナショウブは本当の季節の花で、これには花の種類も多く単弁、重弁の変化のある花が多い。花屋で売るハナショウブにはよい品種のものが少ない。特にとりよせさせるわけだが、なかなか筒単に手に入らないので、いつも残念に思っている。写真のショウプは大輪咲きの変った種類のもので花も大きく花軸も太い。葉は特に趣味に栽培されているある寺院のものを、切らせてもらったのだが、どうにかこれでショウブらしい盛花を活けることができた。カキツバタもハナショウブも、葉は自然の糾みのものをそのまま長短をつけて挿す。なるべく自然風に技巧を人れない方がよい。菜はひらめに挿すことが多く、少しななめの向きの築も交えて花形に風情をつくるようにする。ロ本趣味の花であるから、他の材料と取合わせる場合は、勺柳の緑の葉、山木の新緑の枝、草ものの場合は、ぎぽうし、なるこゆり、姫百合、ささ百合などの短かい日本種の草花がよく、またコデマリ、タマャッツジ、白花ッッジ、利休梅などのかんぼく類もよく謁和する。水盤に剣山を使って活ける場合には、足もとがすき、剣山の見える感じがよくないものである。写真の盛花には「那智黒」の小石を人れて剣山をかくし足もとを美しくした。Rナナカマドは別にミヤマナンテンともいわれる。秋、紅葉の美しいものだが、五月から以にかけて新緑の葉もすがすがしく軽やかな枝の澗子が、瓶花の材料としてふさわしく、雅趣が感じられる。白竹の篭(魚篭をうつしたもの)に姫百合の朱色の花を添えて活けた。色彩的にも美しく清楚な自然趣味の花である。篭の前へ低くさし出た枝、後方へさし出した枝によって花形に奥行きを作っている。4 ... .... RR ハナショウブナナカマドヒメユリ

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