6月号
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Rぽたんの純白の花、紅色のつほみを一本ずつ、ほとんど技巧を加えずそのまま花器へ入れた。花器は青色の陶器、手附トルコ青の壷である。ぼたんとしゃくやくはよく似た花であるが、ぼたんは木質の幹から茎の出る木本植物。しゃくやくは多年生の草花で草本植物である。豊かに美しい花、たっぷりとした緑の葉、ぽたん、しゃくやくは他の花にない華麗さと品格をもっている。白い大輪のほたんの花弁に少し紅色のくまどりのある花、なんとなく口紅の艶やかさのように、なまめきて美しい。白牡丹いづこの紅のうつりたる美しい花のほたんも、豊かな葉があってこそ、その色も引き立ち葉の緑が花の色をきわだって美しく見せることになる。五月五日、少し花季がすぎたけれど、ある栽培家の花園でこのぽたんを切り、みずみずしい花と葉をほとんどそのまま花瓶に入れる。新鮮な感じとたっぷりとした形が―つになって瓶花の美をつくり出している。虚子R かきつばたRかきつばたにつつじの盛花、たまやという紫紅色の花である。花器は掲色の平皿(ひらざら)で、こんな花器には花も軽やかに活けるのが調和がよい。水面の美しく見えるように特に注意したが、右方へ出た留の枝が細く美しい線をみせているのがこの盛花の特徴といえる。右へのびた細い枝の線、こんな軽やかな技巧は、いろいろな場合に利用することの出来る考え方である。かきつばたとつつじ、はなしょうぶと山木の若葉など、初夏の盛花として好ましい配合といえる。2 @ ほたん紅白つつじ

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