6月号
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さぎそう蘭の住む土地〈小品花〉ホlン岬(南米チリ)まで進出して蘭、その々笠削で連想するのは気品、優美さ。そして何となく華者なイメージがしないでもない。だが商科の一族は温暖な地域で安楽に暮らしているわけではなく、北は北極海に近いシベリアのレナ川下流域。南は大西洋と南極海の接点のいる遅しい植物である。一族の基本的な花の構造は共有していても、部分的には随分変容しているので、例えば日本の鷺草と南アメリカの蜘妹にそっくりな蘭を見くらべると、これでも同じ蘭の仲間なのかと不思議な気がする。ヴアンダは勿論南方系の蘭で、青紫色のヴアンダ・コエルレアが代表的な品種である。作例にいけたオレンジ色のヴアンダは、この系統としては色の良い方である。オレンジ色、黄色系のヴアンダや胡蝶蘭には花色の一部が濁ったように見える品種がある。珍しい品種でも他にとり合わせる花材の色の効果を損なうので敬遠したい。このオレンジ色のヴアンダの一輪の大きさは三、五代ンほどで、五段に十三輪咲いている。とりムロわせは緑だけにおさえ花色をひき立たせた。花材ヴアンダピパlナムスパティフィラムの葉花器小型ガラス鉢四枚重ね10

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