6月号
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かゅう‘えんじ植物図鑑を見ていると、川m。その中心から突き出ている花書斎には植物図鑑を何種類も置いている。よど使っているのは二十年ほど前に出た「朝日百科・世界の植物」と三年前に出版された「朝日百科・植物の世界」。両方合わせると二十三巻もある。夕食後暇な夜は書斎で別に何を調べるというのでもなく頁を繰っている。そのうちにこんな植物もあったのか、遠くてもかまわない、というより遠ければ遠いほど見に行きたいと思わせる花や木が出てくる。今のところ次の三種を実際に手にふれ、立った打座ったり、寝転んで見上げてもみたいのである。その一つ日は軌掛布雨林の「スマトラ・大商務」である。実際に商務の仲間で里芋科の務蕩属に分類されているが、花の高さが何と3mもあるのだそうである。花の形は海芋の仏炎直(白い花弁のような部分)に当たる部分だけで柱が仏炎直から更に川mほど突き出ている。茎はmmぐらいなので地面に咲いたように見える。仏炎直の内側は牒脂色、外側は緑色がかった白。中央に立つ花柱は淡い黄色である。仏炎砲の花の直径はMm以上ありそうなのでラフレシアより大きい。この花のことを知らずに、密林の必おこんuT、中を歩いていて急に出くわしたら驚博のあまり身動きできなくなってしまいそうな怪植物である。次はアメリカのカリフォルニア州東部の標高3000mの山中のブリストル・パイン・コーン・である。地表は石ころにおおわれ乾燥していて高山なので気温も低いだろう。その中で最も老齢なのは「メトセトラ」と名付けられたブリストル・パイン・コーンは樹齢4600年だそうだが、こんな所でよくも長い歳月を生き抜いてきたものだと思う。この木の下で暫らく座禅でも組んでくれば私も変身できそ、つである。それから次に特定の植物ではなくオーストラリア南西地方の植生を見たいのである。この地方は植物分布の上でオーストラリアは三区に分けられているが、カンガルー−ポウの原産地である。そしてオーストラリア個有植物の最も多い植物区である。行ったところで植物園のようにまとめて見られる訳ではない。今日はここで三種、次の日は移動と見てまわるのに相当な日数を要するだろう。スマトラ大茄蕩はスマトラの奥地。カリフォルニアのブリストル・パイン・コlンは保護のため生育地は秘密になっている。だがそれらの植物の所花を求める聞にその地の風土に触れ、人情にも触れてみたいのである。10

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