6月号
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さLLm私は手を動かしているのが性に合っているようである。とは云うもののあまり器用な方ではない。物を切ったり打ちつけたりしながら、何かが少しずつ出来上がって行く過程の中にいることが好きなのである。だから、何か作ってもよきそうな機会があれば、他のことは放っておいてもそれにかかってしまう。この頁の青竹の花器や黒塗りの花台も自作である。竹器は竹屋、花台は指物屋に注文すれば、その間他の仕事が出来るのだが楽しみを他人に譲るのが惜しいのである。この竹器は婦人画報の依頼で引き受けた七月号の「夏のもてなし」という記事のために作ったもので、この青竹に、蕎麦や蕎麦巻の盛りつけられた写真が出る。(六月八日発売)青竹の清々しい美しきは色々な物に利用されるが幸いなことに京都は昔から竹に恵まれ、竹を使い慣れている。作例は青竹をくり抜いて黒い船時総で販った簡単なものだが、その括り方は徳利結びと云って、京都では井戸塾を直径4でぐらいの青竹を黒染の椋欄縄で並べて括り合わせて作る。あの手法を利用して作った花器である。青竹は花器として多用されるが、夏にはとくに気持のよいものである。つくっていけて6

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