5月号
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⑥これも応接間の一部。上に飾った瓶花。白百合とトクサを軽く挿してある。壷の中に剣山を入れて留めてあるのだが、花器は紫宵色の手附花瓶。少し黄ばんだ色の壁の色に調和して美しい。小さい照明具、時計との飾り附けもバランスがよくとれていると思う。桜材の掲色の食器棚も若い人のすまいとしてよく似合っていると思う。テレビの⑦明るい光線のさし込むキッチンの一部。棚に食器がいろいろ置いてある。奥様の七つ迎具といったところ。棚に花を飾る。かなり大きな花を横にひろげて活けたが、普通は小品の花一、二輪といったのがふさわしい。花器はトルコ青の背の低い壷(これは灰皿を利用、字野仁松作)場所に調和した花形、これも一っの作例である。⑥ このお宅にはトルコ青、ペルシャプルーの壷が多い。宇野仁松氏の作陶を好んでとり揃えてある。家具の掲色調に対してプルーの壺が装飾的に四いてあり、趣味の統一がとれている。和室のないのもはっきりしている。否家蔀ではないが一っ―つの選択に若い夫妻の目標がはっきりしていて、小さい装飾道只にも心が通っているのが楽しい。⑦ 瓶花や盛花に蘭を使うのは中々むつかしいものである。まずいやり方は葉を一たばにかためて挿すこと。蘭の葉を一とかためにかためて挿すと如何にも作りごとの様になって賃くるしく蘭の個性が失なわれる。日本圃に書いた閾の様に細く美しい葉が曲線を作ってかる<挿されているのがよい。そのためには細い蘭の菜をていねいに二、三枚四、万枚ずつ分けてところを変えて挿すと軽やかに見える。'11然のままの茎をそのままこわさず挿すのがいいのだが、ばらばらになったものは二、三枚ずつを白い根株のところで輪ゴムではさみ束ねて挿すと美しい技巧に仕上る。花梃で買うと少ない様に見えても葉数にすれば相当沢山あるものである。その中から美しいもの形のよいものを選んで数少なく挿す。軽く花の上を越して一枚ずつ挿すこともある。こんなにていねいに作ると蘭のほんとの芙しさが感じられていいお花になる。盛花や瓶花に蘭を使うときは前方の株もとへ挿してはいけない。必ず後方から横(中間の横か副の位芭)に挿すのがよい。前方へ挿すと関の足もとが見えすいて形が悪い。(らん)の葉白息蘭,\、~

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