5月号
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四月から五月へかけてはかきつばたのシーズンである。伝統の花である立花(りっか)や生花では、かきつばたは特殊な活け方と約束と、技巧のむづかしい花とされており、花の配樅や葉組み(はぐみ)にきまりがあって、その約束に添うてかた<ならない様に、しかも自然の姿をいけばなの中に再現することになるのだが、これには技術がよく出来ないと美しい花形が作れないものである。これに反して瓶花と盛花のかきつばたは、自然を写すことが目標であり、いわば写実的な活け方をすることが多い。のびのびとした自然のままの花と葉を花瓶に入れ、水盤に活けることになる。Rの図版は江戸初期時代の「かきつばたの立花」である。作者は桑原富春軒の弟、桑原次郎兵衛で、これは「立花時磐粧」の中に収録されている作品である。(かきつばたの一色立花)流麗な葉の形、引きしまりのある花の配列、また中央の下部の胴と前置と留に河骨(こうぽね)を使っているのは、この立花の形式で、この立花は「行の草の形」である。葉と花によって作られる空間の美しい形、みずぎわの足もとが―つになって揃えているところ、並々ならぬ技術といえる。@ R四月に人るとかきつばたも盛季となり、花形も柔らかみを作って雅趣のある形に活けることになる。この生花は、葉組み五つ「真・副・胴・留・控」に一組ずつの築が入っている。葉組みはの五部で、花は開花、胴と留につほみが各一本入れてある。かきつばたの葉組みは原則として万枚組みにするのだが、後部の葉は形が複雑なので、省略して三枚とする。(全部五枚組みに組んでもよい)真(3枚)副胴(5枚)留控(2枚)(3枚)(5枚)控は祐"柴の心で二枚組に入れる留は花を入れるときは万枚糾、花を用いないときは三枚糾みにする。この写真のかきつばたは、副に垂れ菜を使っている。これは副の中葉がのびて垂れているところを意匠的に花邸に作ったもので、この一枚で仝体の形に柔かい感じをみせることになる。桑原専疫のかきつばたの生花は、築組みをほとんど平にして挿す。ある部分は斜に使うが、遠洲流や未生流の様に葉をたてにして用いることが少ない。出来るだけ自然の姿のまま活けることを考える。2 団。'" -... "'"''''● "'"'一"•かきつばた生花かきつばた一式立花R

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