5月号
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カキツバタからハナショウプヘ、ボタンからシャクヤクヘ、やがて百合の季節に入る。新緑の五月は春の花木から夏草へのうつり変わりの季(花節である。初夏のいけばなは淡泊にして清楚であることが好ましく、新緑の山木に紫の花など、淡彩的な作品が季節的に好ましい。アンスリュウムシュロチク)アンスリュウムの大型種のものを2本、色は陪赤色、暗緑色のものを前後に組み合せて、あしもとにシュロチクの濃い緑の葉3本を重ねて活けた。花器は黒褐色の広口陶器で飴ぐすりの変形の花器だが、この花材によく調和していると思う。アソスリュウムは中南アメリカ原産の花だが、現在、ハワイでは園芸変種が盛んに栽培され、暗紅色、緑色、白色など大型の花が多く輸入されている。写真の花は8cmx12cmの楕円形の仏焔芭といわれる花弁状のもの、これが花の形をつくっているのだが、最近、園芸種の変わった稲類が多く見られるようになった。花材として用いる場合、普通には袢種の葉ものを添えて活けるのが常識的だが、むしろ反対に日本種の花木、葉ものを取り合せて活けると面白い趣味の花が出来る。雄松の葉の荒いものにアンスリュウムの濃赤、緑色、淡紅色のアンスリュウムに純白の八重柏など意外に花を引き立てることになる。アンスリュウムに汗種の葉ものなど意外に平凡に見えるのだが、この写真のシュロチクの葉のようにこの程度だと調和よく見られると思う。要は澗子の変わった花器と副材を考えて活けることが必要ということである。いよいよ五月に入る。花木の春を終わりかんぼくの初夏、水草の初夏を迎える。晩春毎月1回発行桑原専慶流No. 191 編集発行京邪市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元1979年5月発行しヽけばな

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