4月号
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ぼだいじゅよくようセリlヌ・デイオン〈素子は好きなセリlヌ・デイオンが、真紅のコスチュームで真紅のパックの前で唱っている写真が気に入っている。セリlヌはフランス系カナダ人で、もともと素子の好きな歌手で、何年にはグラミi賞、そして世界三大テノールの一人、ルチアlノ・パヴアロッティとのデュエットのCDまで山ている。私達は、夜二人で紅茶を飲みながら色んな音楽を聴いている。クラシック、ジャズーというよりアメリカン・ミュージックと云った方がよさそうであるーやポピュラー−ミュージックと、その日の気分によって選ぶ曲が変わる。好んで聴いてきた音楽のことを振り返って考えてみると、洋楽ばかりで邦楽(民謡や歌謡曲も含めて)とは殆ど無縁に暮らしてきている。先代も唱うことが好きで、新年会で「菩提樹」を唱ったりしていたが、その節まわしは何となく私達のものとは違っていた。邦楽の抑揚が入りこんでくるのである。明治生まれの先代は幼い頃から邦楽の音感の中で生長してきているのである。明治生まれの人とはそんなものなのかと思っていたのだが、ある時その音感が先代のいけばなの中にも息づ衝いていることに気がついた。それは先代の生花や立花の枝先の表紙の花〉2

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