4月号
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かんそく以前は大きくても花径6HJぐらいだったアネモネも此頃では8で以上もありそつなものが切り花として売られている。アネモネはヨーロッパ文化と深いかかわりを持ち、新約聖書の中でイアネモネ(金鳳花科一輪苧属)エスが野の百合と云ったのはアネモネのことだと云われているし、ギリシャ神話にも出てくる。回世紀に描かれたフランスの絵には現在見られる花色がすべて出ているし、口世紀のバロックの画家達の絵にもアネモネは多い。現在最も多く見られるのはアネモネ・コロナリアという種類で花色は白・ピンク・赤・青紫で青紫には濃色と淡色がある。各色とりまぜていけるのが普通であり、又その方がアネモネらしくて良い。作例ではまず雁足7本の形を見ながら一括りにして、あとからアネモネを挿しても足もとが崩れないようにしておく。アネモネの色は白2輪、赤、ピンクが一本ずつで花色がはっきり見えるよ、つ正面を向けて挿す。花材アネモネ花器活白け色陶て花瓶活かす辻田慶敬さんから興味深い報告をいただいた。昨秋、梓の会のいけばな展の頃辻固さんは入院きれ、先日全快して退院なさったが、退院後入院先の藤森の国立病院の看護学院の生徒約印人にいけ花の入門講座を聞かれた。そして全員にレポートを提出させ、それを私に読ませて下さった。生徒の殆どがいけ花ははじめてなので、講義の主眼を、花を活かして悟けるということにおかれていたようである。まず花は水切りすれば息を吹き返して生き生きしてくるのを自分の目で見て、花が確かに生きているのをはじめて実感したと全員が述べている。当り前と云えば当り前なのだが、花は生きものであり、いけ花とは花を活かすことなのだということを実感したのである。講座に出た人の大半が、花はただ締麗で良い香りのするものだとしか思っていなかったらしい。そして生きているものであり雁足手入れすれば患者きんの枕もとの花がもっと生き生きとして病気の快復の手助けになるだろ、っと看護学生らしくレポートを結んでいる。他にも色々とりあげてみたい感想も多く、機会を見て紹介したい。10

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