4月号
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R白桃一種の生花である。右勝手行の花形。生花はすべて留の方を花の表として見る。この桃はからももの系統らしく、木振りもごつごつとして、花つきも多い。春の花木もの(かぱく)は、枝の揃え方も美しく、花も美しく見える様に活けることが大切である。花木ものとは、梅、桃、桜、さんしゅうの様に、若葉を出す前に花をつける木もののことをいうのだが、生花として一ばん技功の見えるもので、その辺にむづかしい材料といえる。ことに足もとの揃え方を美しく作せいかることが大切だが、花器に立てる前に枝ごしらえといつて、無駄な枝をとりはらい、枝振りをよくためなおしてその後、副、胴、真、留、控の順序で挿して行く。この順序で入れて行くと、写真の様な美しい水ぎわ(足もと)が作れる。桃は花が落ちやすいから特に注意しながら順序をすすめて行く。花器は白竹の寸筒(ずんどう)に活けてあるが、この竹の花器は生花のお桔古用に一ばん活けやすい器で、なんの装飾もない単純なものだが、清楚な感じを尊ぶ生花にはよく調和する。白竹の寸筒は粗末な花器の様に思えるが、これも竹の種類をよく選んで、なれた古竹のものを使うと上品な感じに見られる。B A R葉蘭を9枚活けた。右勝手行の花形である。ばらんは足もとが細くてすべりやすく、中々むづかしい様にいわれるが、これも慣れればそれほどでもない。葉の大小や形をよく選択することが一ばん必要で、その選択が充分でないとよい花が入らないものである。花屋で買ったばらんは大きい葉が殆んどなので活けにくいが、これに庭の小葉を添えて活けると、丁度よい詞チにまじりあって活けやすい。農村では自由に手に入りやすい材料であるから、好きな葉を選んで切りとり大葉小葉をとり合せて活けると、楽しい生花が作れる。ばらんは中心の葉軸がとおつており、その葉軸を中心に見て、右の広い葉、左の広い葉の二種になつている。活ける場合、この二種を花形の適所に配四して、その葉ぐせを利用して、よい形を作り上げることになるのだが、この写頁を見て説明すると、葉の裏より見て(右の広い葉)真、見趣(左の広い葉)真かとい、副に用いると花形がよくなる。その他の胴の部、留の部は左右どちらでも形のよい葉を使えばよい。写真の葉蘭は、真、真囲い、見越、副、胴、胴のしづみ、留、総かこい、控の9枚で出来上つている。小さい穴のくばり木を用い、水ぎわはひと揃いに美しく揃える。胴の2枚は下の方が長く前へ出してある。2 生花四趣白葉桃蘭.•••

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