3月号
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‘,0 '> これも二作構成の作品である。白い花瓶を前に置き、少し左後方に黒い鉢様式の花瓶を置き、花器の形と色の調和を考えた。白い花瓶には紫赤色のデンドロビュームの鮮麗な花を2本、これに緑の蘭の菜を添えてのびやかな形に左右へひろげた。これ―つで充分の花だが、これに意匠を加えて、後方に黒い花器を岡き、洋蘭の慇じとはすつかり変つている「ぜんまい」の充芽を柚並びにならペて調和を考えた。二作構成の場合は、花鼎の調和と色彩、花の調和と色彩、この二つが結びあつて、美しい意匠のある装飾花を作ろうとするところに目的がある。このぜんまいは、鹿児島地方に野生する種類とのことだが、色も黒く褐色で、頭がまるく曲つている形が面白い。茅舎の句に「ぜんまいののの字ばかりの寂光土」というのがあるが、こもれ協のさすしずかな山地に野生する面白い「のの字」のぜんまいの雅趣を句にしたものだろうが、仝<奇板な姿をもつている。用い方を考えると瓢逸な感じを出すことのできる材料である。このぜんまいの様な材料は、特にこの句にあるような奇趣を花の中に出すようにしたc ⑪朱色の花のクンシラン、濃い緑のモンステラ、黒く掲色のはんのきの実。色彩の美しい盛花である。クンシランは大味の花で、使い方のむづかしい材料だが、オレンヂ色のこの花に配合を考えて取合せると、引き立つ材料といえる。紺色のたっぷりとした鉢に叩品のある材料を活けたが、花器にもよく調和していると思う。たっぷりとしたクンシランとモンステラに対し、枝に変化のあるはんの木を軍ねて、形の上のバランスも考えたつもりである。cの洋蘭とぜんまいの色彩美の花と、このクンシランの盛花の二つは、趣味的にも色彩的にも効果のある配合だったと思つている。意匠と色調と形とがぴったりと一致すると、佳作ができるものである。3 デンドロビュームぜんまい⑪ クンシランモンステラはんの木c

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