3月号
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私がはじめてストレリチアをみたのは、昭和たと田心う。宝塚線の山本駅の近くのB農園の加室で五十株ほど鉢植えにして入れてあり、その中から四、引本花のあがつているのをみて珍らしい花だなと感心したものだった。何十年目しか花が咲かないものだ、などとおどかされて驚いたものだったが、現在は普通に花屋でみられるようになつて、オレンヂ色の花よりも「オーガスター」という白花の大輪咲きに魅力を悠じるようになり、私逹も段々ぜいたくになったもの、と思うのである。カーネージョンが京都にはじめて入ってきたのは大正5什ごろだったと息う。東京の伊藤農場から私の家へはじめて、京部でもはじめての人荷だったと思うのだが、1本二十五銭の特別値段で買ったものだった。そのころはゼラニュームにマーガレット、チューリップ、アネモネ程度が普通にみられるころだったので、温室咲きのカーネーション(現在この品柾は最低の品秤といわれている)をみたときは、さすがは東京の園芸はすばらしいものと咸心心したものだった。さて、ストレリチアは日本名で「極変鳥ばな」といわれているが、これは花の形が極楽鳥の頭に似て、またオレンヂと古色の花の色がこれに似ているのでつけられた花名である。ストレリチアは南アフリカ喜望峰に自几する徊根平で、ハワイ、アメリカなどで盛んに栽培されている花である。極楽鳥花とは日本名としては秀逸だと思うのだが、花の中に鳥の名、動物の名を冠したものが多い。たとえば、カッコウアザミ、ヒヨドリソウ、サギソウ、フウチョウカ、クジャクソウ、コチョウラン、チドリソウなど、また、キツネノカミソリ、キツネユリ、キリンソウ、キンギョソウ、マツムジソウなどと、動物虫類の名を冠した花の多いのも面白い。大休は花の形や花の色がそれに似ているものが多く、その中でもこの極楽鳥花など、びったりといった咸心じがする名である。大正松(ダイオウショウ)というのは、北米の東北部に自生する樹高三十メーターにも及ぶ肛幹の堂々たる姿をもつ松である。隆々とした形は大王と呼ぷにふさわしい形をもつている。まことに植物の名にはそれらしい名があるものである。大王松は三枚葉である。22年ごろだっ毎月1回発行桑原専慶流(大王松ストレリチア)編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1972年3月発行No. 105 いけばな

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