3月号
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~ヽRかきつばた一種の立花である。砂鉢に二株に作った「砂のもの立花」である。かきつばたに「こうぼね」を前間につけてあるのだが、一式の立花には、前置だけ他の材料をつけることが形式になつている。蓮一式、菊一式、水仙一式など同様、前罹の花をかえて作ることが例になつている。かきつばたでこんなに曲のある茎は珍らしいが、五月頃、野生に咲くかきつばたの中には、こんな姿のものもある。左の株は主株(おもかぶ)右の株は子株(こる。前附は同じ花をつけないで、そかぶ)である。同様に頁を二っ立てれぞれ違った花をつける。これは他の場合も同じである。6ページの二つ真の立花の場合でも正真を二つ立て、前仰は椿とっげと二種の材料にとりかえている。これは株分挿しの場合も同じである。この図の子株の方の前節に開花を三輪ほど重ねて使ってあるが、実に巧く作られている。花器に砂を入れ、その上まで水を入れていると息う。(水草砂のもの)であるから。@-Rこの花形を盛花として作ったのだが、材料は水仙、三種である。水仙は2月の末の今日では、すでに終り方であるが、野菊の紫色の花は、今日はじめてみる初ものの花である。「都忘れ」「簾のうち」などという雅名がある。ハルヨメナというのがほんとの名である。配色の美しい盛花だが、白黒写真ではその感じが出ないのが残念である。左の主株の前附に紫の野菊をつけている。子株の前附はなたねである。なたね、野菊の盛花の株分挿し(分体花型)は、この立花の二株立てから始つて、生花へ、さらに盛花へと変化してきた形式である。かきつばたの立花図にそうて盛花を作ったので、同じ様な形になつているが、独立した盛花としては、もつと自由に、のびやかな謁子の分体花型がよい。この形から発展して、奔放流麗な盛花の形が作られることが望ましい。しかし、この様に三00年以前のいけばなと、今日のいけばなを対比して考えるのは、多くの問題を含んで、実に興味が深い。I lliifi ゞし― 鬱畜曇疇願旦曹... j \ . --~-, ·.. ・..' ● ...... __,I ,,-~ @ 盛花分体花型R 杜若ー式砂物(松庵作)なたね,水仙,野菊,, . .._、) 10

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