3月号
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~~~汐~R冨春軒門人菱屋六兵衛は京都六条に住んで、花道、俳諧の奥儀に達した風流人と伝えられている。この立花はといつて、主従の二つの株がより合つて一体をなしている。中央に美しい空間をあけて、左右の二つの株にそれぞれ真を立てる。砂鉢の株わけざし立花と同じ考え方なのだが、「二つ真」の形は、直立した二つの線が、少しの空間を残して合うところに、技術的なむづかしさがある。竹を入れることが多く、この図は「従」の正真に竹を使っており、真 ナrx ·` 「二つ真」ふたつしん二つ真立花(菱屋六兵衛作)μ` と請に松、副と正真に梅、控に大葉、流枝に水仙の葉を使つている。前置はツゲの小葉らしく、左方下の椿は「留」右下のシダの様に見えるのはこれも「留」であって、立花の場合は、右左に草と木の留を入れるのが古式となつている。さて、この立花は松竹梅の立花であって、水仙つばきなどをあしらった「祝儀の席」の花であろう。この作品をみると、曲線と直線の配合、左右高低、上昇するもの下降するもの、太い木と細い木、材料の配合など、あらゆる点に注意がはらわれており、まことに感銘深い作品である。団巨ぢノムノ尤1嚢ト⑧R瓶花普通の瓶花としては変った形が作れた。立花の二つ真を心において中央の空間をあける様に注意して作ったが、帯化柳の変化のある曲線、桃の直上線、タニワタリの大葉などが立花的な感じを出しており、テンドロビュームの軽やかさ、色彩の美しさによって、古い型を明るい感じへ引つばつて行く、その役目をはたしていると思う。花器は渋い藍色の陶器の花瓶で、二つの手があつて立花瓶に適した花帯化柳、紅桃、たにわたりデンドロビューム器である。普通には桃、常化柳、谷わたりなどの配合をすることは少ないが、考え方をかえて立花という立場から、瓶花を店けてみると、こんな面白い作品が生れることにもなる。あまり立花の臭味があるのは嫌いだが、なんとなく、立花的であるという程度が最も好ましい程度であろう。その辺の限度がむづかしいのだが、普通の瓶花から少しはずれた程度が好ましい。6 '』-‘「嶋:,,'・' 汽`‘._'-...,, ← --詈憂R \

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