3月号
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やまあい土に逃えるこの作例に使った枯芭蕉と枯紫陽花は、昨年の九月号に使った芭蕉と紫陽花の枯れ果てた姿である。赤い芭蕉の実(バナナ)は水分を失って褐色になり、秋口に変色しはじめて青みがかった色をしていた紫陽花もすっかり枯色になった。両方とも新聞紙にくるんで風通しのいい納屋の軒下につるしておいて約半年。も、ヱ存になりかけた二月末に投入にしてみた。南天の実は秋に色付きはじめ、葉も紅葉して冬を過ごす。私の家の南天の実は色付いたかと聞心うとすぐ小鳥に食べられてしまうが、な実をつけたままで過ごすのもある。京都でも治北の山間に行くと、積もった雪の中の赤い実が見られる。常緑のシンピジュlムの葉は一年中つやつやしている。この四種の花材は全部残り花である。私は物をあまり大切にしない人だがこんな花を集めていけるのは中々楽しいものである。失敗してもともとと四やつのはよくないことだが、残り花を集めてどういけてみょうかと思案するのは無意味なことではない。作例は上出来とは云えないかもしれないが、そんなことを思いながらいけた一瓶である。花材枯芭蕉枯紫陽花南天の実シンビジュlムの葉花持白色軸花瓶宇野三吾作一冬真赤11

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