3月号
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猫柳(川柳)花型副流し花器胡麻竹寸筒枝垂柳は中国原産の渡来植物だが枝の立ち上がる猫柳は東アジアに広く自然分布している。そして日本会+域の水辺に生えていて川柳ともよばれている。この猫柳が突然密集して黒柳(黒芽柳)が生まれたり、山猫柳との交雑種が赤芽柳とされている。いけばな向きの柳としては、赤芽柳や黒芽柳のような切花用に栽培されているものの方が花屋では優位に扱われているが、以前は都市近郊でも、猫柳は自分で自山に切り集められる稽古用の花材とされていた。川辺の猫柳は自生種なので根差した場所に適応するために這うように枝をのばすもの、高く大きJ枝を張るものもあるので様々な花型を考えることができる。作例の真の枝にはもっと沢山の脇枝がついていたが下部の小枝は切りとり、上部の数枝で形をとっている。副は野生として帯化した枝を使って全体に甫説的な姿形にやわらかみを加、えた。「柳に雪折れなし」とはいうが、枝垂柳や川辺の猫柳は、赤芽柳や行李柳のような柔軟性はなく、かなりもろく折れやすい。胴には少し太めの枝を使い、副と胴の沈みには枝先が五、六本に分かれた枝を使っている。その場合分かれ口の高さを真と副の分かれ目の高さに合わせて枝が交差しないようにしている。留、総園、控も枝先で十五1二十代ンの分かれ枝のあるものを使ってまとめている。作例に用いた猫柳は花屋で買ったものなので行儀のよい姿をしている。自分で河原で探せば様々な形の枝を見付けることができる。そして、そこで切花向きに栽培された赤芽柳やその他の猫柳の原形に出合って生花の面白みも深まってくるのである。5 n

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