3月号
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どじょう第三種郵便物認可桑原専慶流いけばなテキスト仰号1999年3月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専慶流家元発行初音昨官出版した「源氏・拾花春秋」の第二十三章「初音」に根引松と紅梅の図を出している。この生花図は五十四作のうちでもとくに気に入っている絵の一つである。柳の下に泥舗は二匹いないというが、もう一度いけてみたくなって、それを新幹線京都駅での「冬の旅・いけばな展」に出品した。「源氏・拾花春秋」では松と紅梅のとり合わせだった。使った紅梅の色は淡かったが朱塗りの花器を使ったので全体としては華やいだ感じが出ている。だがこのままの大きさではいけばな展の出品作には小さいので、花器に大ぶりの水盤を選んだのだが、この白い水盤に淡色の紅梅では色が淋しくなる。そこで「初音」の巻にはそぐわないかもしれないが、松の大ぶりな若枝を真と副に、留の朱木瓜に苔枝をそえていけてみた。朱木瓜は色に華やかさを与、えると同時に、形も派手にしてみたかったので細枝の先が形良く伸びていて軽やかなものを選んだ。留の長さは真の松の一・五倍ぐらいに長々ととっているが、斜左前に出ているので、写真では一・二倍程度にしか見えない。留側は先に苔枝の形を作って挿し、長J、前に張り出し、控も後へ長く水その後へ朱木瓜をそえて行く。総囲の玄同枝は立花の草庖のように平につき出して枝先を垂直に立てる。そのあとで朱木瓜をそえることになるが、上から見ると、扇の骨をひろげたように何本もの木瓜の枝をひろげ、その所々から小枝を立ち上がらせている。趣きは変ったが、これが今年の私の「初音」である。「源氏・拾花春秋」の中にはもう一度いけて、今度は宜4共にとっておきたい生花もある。「帯木E」、「湾み標を」つ、〈しょ「蓬’E生ふ」、「胡蝶」はもう一度連理草が手に入れば小さな花をいけてみよう。その他にも季節になって花が手に入ったらいけてみて、テキストに紹介してみたいと思っている定価五OO円。/

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