3月号
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桃をいける花材桃白椿小品生花(叩頁)花器青色紬小鉢花型行型自由花型(日一息花材桃スイートピー花器銀茶器日年前の「テキスト二O一一号」に、「雛祭といけばな」の左右に飾るための小品生花が二作と題して、雛壇和則載っている。雛人形の大きさに合わせるように、白桃に紅椿、紅桃に白椿の組みあわせで小品生花がいけられ、小品生花がなかなか難しいこと、対瓶の花のことや、古い花道の礼式について述べられてある。三月三日の上巳の節句に人形を飾り、女子の成長を祈る雛祭は、親から子へと心を伝えるための年中行事として、それぞれの家で様々な雛人形が大切にあっかわれている。一つ一つそおっと箱から出すうちに、お雛様のにこやかな表情がこちらにうつってきて、優しい心になっている。実際に優しく扱わないと、檎扇を持つ手が折れてしまいそうなほど繊細に作られている。桃の枝を扱うのも、同じようなことが言える。桃色の柔らかそうな奮は、束をほどく時、枝を切る時、いけたあとでちょっと手ふ直しする時などに枝の振動や、服の端に当るだけでぽろっと落ちてしまう。奮の小ささからすると、意外に大きく拡がる桃の花は、一輪一輪が暖かな太陽の光の中に溶けてゆきそうな優しさを感じる。だからこそ一輪でも落とさないよ、つ注意して枝を扱うように教えられる。実際に一輪の花があるのと無いのとでは、その枝の印象がずいぶん違ってくる。さて桃のいけ方。梅りとつAもHivま桜よとうすもカた違う、素直な枝ぶりは、「立花時勢粧」(一六八八年)の中で流祖仙渓が「桃の木っき枝ぶり素直にして働きなく10 雇

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