3月号
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〈8Hの花〉一一月の半ば頃から三月にかけて、世室で咲かせたアカシアが美しい。古いテキストを読み返してみると先代も毎年のようにアカシアをいけている。稽古にも応用できるとりあわせとして、白いラッパ水仙、カーネーション等の他に山桜にアカシアをそえてみたり、白山断、クロトン、フリージアというような変ったとりあわせもある。作例は白い大輪のアマリリスと小輪の朱色のアマリリスをとりあわせているが、アカシアの葉は所々間引くように切りとって花の色の邪魔にならないよう枝ごしらえしてからアマリリスにそえる。とくに水際部分を軽くいけ上げたい。花材アマリリスアカシア花器褐色柑コンポート〈9頁の花〉黒芽柳は春の華やかな色あいの花にとりあわせるのに良い花材である。とくに黄色系、赤色系の花の色に落着きが加わって渋みのある配色にいけ上げることができる。作例にはオレンジ色のパラを使い、その後に緑の鮮やかな麦を立ててみずみずしい感じを与えている。花器は灰色に所々かすれた褐色に彩られており、このとりあわせにはよくあっている。初冬から二月にかけて華やかな色彩に乏しい枯色の季節から春めいてきた三月には季節より一足だけ早く咲いた花をいけて陽気に部屋を飾りたし。9

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