3月号
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前国において真行草の花形について解説しました046号には水仙の写真(頁の花体)、47号には槙の写真(行の花休)をお見せしました。今の号では(草の花体)の写真を2枚お見せします。掲載の写真Rは「猫柳、すかしゅり」2種で活けた、草(そう)の花形であります。真行草の花形、とは書道の楷書、行書、草書の意味と同じ様に、真の花形は花格の正しいもの、行の花形は柔らかくまる味をもつ花形、草の花形はぐつとくだけた生花について変化のある花形であります。草の花形は普通とは変化のある形でありますが、更にそれを二つにわけて解釈します。(草の花形のA)草の爽l猫柳、行李柳、彼岸桜、エニシダ槙、雪柳、伊吹、ひばの様な材料で、その枝線を曲げて草の花形を作るもの、ためる技巧によって風雅な形を作ります。この方法で作る花形に左の様な定型があります。副流し(副の長い花形)胴流し(胴の長い花形)留流し(招の長い花形)内副流し(頁の裏に入れる内叫)(草の花形のB)ーーI草の行ー|梅、老松、八重桜、木蓮、ぼけ、の様に自然の形に曲があり、変化のある枝振りのものを、そのまま活かして風雅な自然体を作る。自然のもつ形と副流し、胴流し、留流し、内副流しなどの形との和合を考えて、自然趣味の形を作る花型です。以土は草の花形の区別と考え方でありますが、ここに掲載した二つの作品(草の花形)を例にあげて説明しましよう。猫柳、すかしゆり猫柳を柔く曲線にためて、加えて草の花形のうち「副流し」の花形に活けてあります。これは前項の④に属するもので、まつすぐな猫柳を曲のある美しい形に作りあげたものであつて、草の定型四つのうちの「副流し」であります。B 行の形では副はもつと短かく、留を長く作るのだが、この場合は、副を左方へ長く出し、短かく作り、控に短く、ぐつとしめて長短に変化をつけている。足もと(みずぎわ)はこの写真で見る様に、美しい技巧で揃える。この猫柳の真の裂側と控の百合の左に小枝が二つ入っています。これは主要枝ではないが、花形に風情をそえる色気とでもいうか、技巧を艶を添える補助枝でありますっこの様な枝を添えるところにテクニックがあります。(草の衷花形)これは草の花形のRに属する生花であります。梅のぽくの風雅な姿のものを選択して、自然風な中に花形前方へ胴を少し(すかしゆり)を留と梅、緋おとめつばきをととのえます。これを(草の行)の花形といいます。自然のままを活かして、その中に真、副、胴などの形を見つけ出し、或は別の枝をつけ添えて形をととのえます。花形はさきにのべた副流し、胴流し、留流し、内副流しの四つの形にそうて活けますが、自然の枝が奔放な変化のある枝の場合は真、副、留の三体で作り上げることもあり(老松などの場合)作者の考案を多く入れて、形を作り上げることができます。写真の老梅とつばきの平の花形は、真の調子にも変化があり、水ぎわもどつしりと低く作り、極めて目然描写に重点をおいて活けてあります。8 猫柳すかしゆり緋おとめつばき梅A R

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