3月号
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連麹花器灰色柑花瓶春の花木の中でも、一ひと際きh目立って派手なのが置期である。ヨーロッパにも中国から渡った連麹が、ロンドンやパリの春を明るく彩っている。連麹属は東アジアに8種、ヨーロッパに一種あり、ヨーロッパの野生種と、日本種の対和軍強は花が少ないのであまり栽培されていない。現在私達がいけている連麹は中国と朝鮮の連麹なのである。ところで連麹という名称は、実は漢名を奈良時代に誤用したものである。私達が連麹とよんでいる花は中国では黄寿丹といい、連麹というのは日本の釈明車科の巴草のことを指すのである。このような誤用は大変多いそうで、詩や文学の中に出てくる植物名に間違ったイメージを抱いてしまつこともあるという。連麹の開花期は本来四月なのだが花屋では一月中旬以後に枝を切り、水をあたえ、日度から却度ぐらいの室内におくと叩目前後で咲きはじめる。このような方法で早咲ききせた連麹をいけるのだが、太い枝は中空で折れやすいが、節と節の聞をかじ携めすれば多少形をととのえることができる。蔓状に下垂する形を生かして古来掛花にもよく使われるが、生花においても、雪柳や小手還のように垂体副流しに向いた枚物である。作例では垂体をえらばなかったが連麹は、一種挿しより、色の対照の鮮やかな花をそえ花色をひきたてる。9

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