2月号
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枯薄か枯薄というと佐しい感じがつきまとうが、私の家の薄は枯れても生き生きしていて、椿の木の横で折れずに枯葉をひろげている。どう形容すればいいのか、健康な白髪の老人のようである。それに対して表庭の跨据の横に生えている猿取茨は、小鳥が運んできた種子が芽生えてから十年以上たつのに実が生ったことがない。猿取茨は雌雄異株だが、庭のは多分雄株なのだろう。そんな庭を見ながら枯薄に旗取茨をとり合わせてみたくなっていけたのが作例の投入である。写其で枯薄の艶が感じとってもらえるかどうかわからないが、冬のいけばなの一例になるだろう。高さが3mぐらいになる庭の枯薄を主体にして野山の枯薄を集めて冬のいけばな展の大作も時々作っている。枯花材は水の必要がないので自由な位置に様々な形に変えていけることができる。枯薄は一本だけ見ていると佐しい花だが、沢山集めていけてみると、暖かみが感じられるようになって、冬の寒さの中でほっと一息つかせてくれるような雰囲気を作ってくれる花材である。花材枯薄猿取茨(山時来)花器褐色焼締花瓶れすす怠さるとりいほら9

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