2月号
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暮にはね上がった花の値段も一月の半ばを過ぎると下がりはじめ、稽古花の選択も楽になって作例のようなとりあわせも考えられるよ、つになってくる。この稿を書くのに先代の稽古花の選び方がどんな方針だったのかと古いテキストを読み返してみた。やはり私達が教えこまれた通り品質を第一に考え、いけ花の先生も花材の良否に精通するよ、つにならなければいけないと云っている。もともと家元の教場ではかなり高級な花材を使っているが、それは花材に対して高い選択眼を養うためであり、多少賛沢でも良い花材をいけ、その花の最高の美しきが充分理解できるよう指導していた。普通、稽古用の花材費は八百円から千円ぐらいではないかと思うが、時にはいけ花展に出品するような場合、上質に育てられた新鮮な花材を使って良い花材にのみ感じられる気品に触れる必要がある。作例は白い猷苧にグロリオーサの鮮紅色というとりあわせだが、この二種の花材を生き生きときせているのが海芋の茎とグロリオlサの葉の緑である。一葉一葉を傷つけないよう丁寧にいけてほしい。花材白花海芋グロリオlサ花器土色焼締深鉢稽古の花について6

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