1月号
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竹やぶでの竹の高さは大体10メーターほどもあつて、それを適宜の長さに切りわけ、枝の長くのびた不用の部分を切りすかしてしまう。ややかさ低くして山すそまで持つておりる。ほとんどうす暗い夕刻の時間である。初冬の風は冷え冷えとして、やぶの中は一層わびしい思いがすろ。山をおりると谷川の水に足もとをつけて、しばらくそのままで置き、それから荷造りである。足もとにぬれた紙布を巻き葉もすっぽり包んで、トラックに積み込む。準備を完了したころはすつかり暗くなつて、ヘッドライトをたよりに山をくだって街道に出る。この竹林は京都深草大亀谷の竹林で市内からはいちばん近い距離にある。.. 7時だった。この日、竹切りに参加したのは、専渓、隆吉、索子、竹中、八木の五名だった。荷造りをほどいて竹の寸法を切りあらため、さらに無用の枝葉を切りはらって、これから水揚げをする。熱湯の中へ「しょうちゅう」を適品に投入して、約七分間煮沸すろ。切り口の色が少しかわる程度である。今日は十五、六本切ったが、なにしろかさ高いものなので扱いも大変である。煮沸後は布に全部を包んでこれで二日間ほど悩くことになる。そして水揚げの結果をみて活けることになる。→ 六角の桑原宅まで帰ったのが午後12月1日、今日は松竹梅の生花を活けるために「あずさの会」の会員が午後4時より家元花席へ集合した。会員は13名である。この会は特に真面目な熱のある人の集まりなので、特別の審査をへて人会を許された人達である。入会後も隷の足りない人は退会してもらうことになっている。いわば同志の集まりといえる。「あずさの弓」のように柔軟で、しかも強力であることを目標にしている。さて、適当な材料を選んで、竹の裏側に穴をあけ、そこへ水揚薬を注ぎこむ。その後、この穴は立てせんでツメをして水の出ない様にする。← 7

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