1月号
92/578

幸にして熱心な人達が集つて是非教えてほしいということになつて、上げるまで、やりにくいことをやりとおして、立派な成果を「松竹梅」の生花を活けるのは、全くの久しぶりであった。あげることができたのは、実に喜ばしいことであった。生花の研究に熱心な「あずさの会」の会員の皆さんの努力によって行なわれたのだが、この夏の「蓮花の研究」とともに記念すべき事業といつて過言でない。最近、松竹梅の生花など、あまりにも古典的で行なう機会がないのだが、伝統技術の研究ということも、実に大切な事と思う。11月29日、竹の採集からはじめて、12月1日に活け竹を切るのは秋に人った10月ごろから、春の竹の子のあがるまでの、主として晩秋から冬の季節が竹の姿形もよく、水揚げのよい季節なので、その時期を考えて活けることになる。竹の種類は随分多いが、いけばなに形のよいのは孟宗竹(もうそうちく)で、孟宗竹を活けることがいちばん多い。もちろん「寒竹」のような細い竹も活けろが、袖礎的にいけばなに使うのは孟宗竹である。竹は水揚げの悪いものであろ。切つてすぐ水揚げをする。活けるのは水揚げをしてから二日程度すぎてからがよい。たしかに水揚げしたかどうかをたしかめてから活ける、という考え方である。切る時刻は早朝か夕刻がよく、もちろん活ける本人が竹やぶまで行って材料を見定め、形のよいもの、水揚げのよさそうなものを選んで切る。竹は一年+(いちねんこ)二年子(にねんこ)などといつて、今年の竹、咋年の竹と種別がある。大体、二年目の竹がいちばんよく、その中から枝葉のしまりのあるもの、枝のあまり長く出ておらないもの、葉色の実しいもの、ふしの美しいものを多くの竹の中から選んで切りとる。選択がまず第一にむづかしい。Rの写真のように足もとからなたで切りとる。写真は(竹を切る竹中度敏氏).. .. 6 竹切りと松竹梅の生花せいか11月29日12月1日松竹梅生花(専渓)

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る