1月号
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ほけは五月かその花の季節である。山裾の草むらの中に朱色の花を低く咲かせて、野の花としては愛らしい花である。園芸栽培のほけは2月ごろから咲き、これを一般に「寒ほけ」といつている。また、この花は11月から12月へかけて返りばなが咲く。桜や椿と同じ様に早咲きの花というのか、又は返り花というのが正しいと思っ゜ちょうど水仙の早咲きの花をみる11月中旬、ぼけの朱色の花が咲き、まばらで花のつきも少いが、なんとなく風雅であり、水仙、山菊などと配合して活けると上品な花ができる。c ぽけの返りばなすいせんこの写真は、11月20日すぎに活けたのだが、朱色の花がつき、水仙の花と葉との調和もよい。ボケに菊の配合は活けやすいが、水仙の細い花葉の綜と、ボケの細い枝の綜とが複雑になり、上品な配合だが活けにくい取り合せである。ボケの枝を前へ出し、その後方に水仙を入れてつとめて枝葉の混雑しないように注意した。花器はうすばた様の形のもので、皿の上に水がたっぷりみえるところ、足もとが美しくみえ、ボケの朱色の花が前方低くにみえて、みずぎわに色彩を添えている。松竹梅の生花を水盤に活けた作品である。竹の葉も軽く一枝が出ているだけで軽やかな、しようしやな感じがする。いかにも女性らしい姿の花といえる。この竹は足元のふしのところに変化があって面白い形なのだが、写真ではむしろ複雑にみえる。水盤の右裕りに株をすえ、足元へは大粒の小松竹栴の水盤生花石(まぐろ石)を入れて花留をかくしてある。こんな場合は小粒の砂よりもこの方が水の中が美しく見える。竹は上から下まではつきりと見えるように活け、他の枝葉でかくさない様にする。その点、この生花は技巧的によくできた作品である。軽やかにのびのびしているところが好ましい生花である。(素子)5 ....

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