1月号
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R橙、カユウ、ミリオクラタス三種の瓶花である。花器は辰砂シャ)の花瓶で紫紅色の陶器である、花瓶の紫赤の上に重ねて黄色の大きい橙の実三つ、ミリオクラタスの緑、ヵュウの白の配色が美しいc橙の実が重たいので下へ垂れるのを壷の上へかさねる様に三つまとめて、その配列に変化のある様に考えた。(花器にふれない様に)(シン橙の枝のまばらな線も効果があると思っ。左方の重みに対して、右方へはミリオクラタスを花器より左へ張り出す様に挿し、左右のバランスを考えた。カユウを4本、中央に立てて、前方へ、カユウの一花、ミリオの葉をさし出して、後方の控の位置へ橙の枝を一枝人れて、変化を考えた。この瓶花は、色彩的にも美しく、落着もあり、花形としても新鮮な感じに仕上つている。私のよい作品の―つだと思つている。宇野仁松作の優れた花瓶なので、一膨、花も引立つているのであろう、名作の花器は、このいけばなの様に、全体に気品が生じるものである。よい花器に、よい花、優れたいけばなの技術と、この三つが集ると、理想的な佳作が生れる。それには、花器を選択する心、花材を選ぶ考え方、活ける技術の完全な識和が、瓶花の美を作ることになる。どの―つも欠けてはいけない大切なことである。なお、その上に、花を活ける場合の機運とでもいうのか、調子よく行く場合と、どうにも調子の悪い時とA がある。この辺が中々むづかしい。の瓶花である。この瓶花は、新年の飾り花として適当な一般的な瓶花である。花材の虻合も手軽に得られる常識的なものだし、花形も湿和な、平凡な程度の、それだけに大衆的ないけばなといえる。カーネーションは紅の大輪咲き、松の緑に対して配色が美しい。深みの花器を選んで、剣山に重みをつけて挿した。のびやかに、足もとのすくことを気にしないで挿す。足もとに空問があつても、きれいに見える材料だから、気軽な気持ちでR松、カーネーション、水仙三種ろつ。挿して行く。この場合、花器の深い形のものは活けやすい花器は黒褐色のあめぐすりの広口の花器で安定感がある。カーネーシヨソと水仙は、いずれも匝立する材料であり、この二つだけでは平凡なので、後から松を一本添えた。この松の一本で、変化が出来てきた様に思う。小さい松の小枝を左方の留の位似に入れると一層よくなると思う。春らしい明るさの兄える瓶花だと思この花器は高さ20センチ、口径15センチ程度の花器で、小型だが四季の材料によく謁和する花瓶である。B 2 月の花。.....

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