1月号
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紅葉のメカニズム516℃以下で急花は開花期の調整ができる。例えば四月下旬に咲く里桜でも、旬に切って温室で加温すれば三月にいけることができる。だが紅葉だけは季節の巡りを待たなければならない。鮮かに色付くためには、温度、光、湿度の三条件が揃わなくてはならない。最低気温が8℃以下になると紅葉しはじめ、速に進む。その上日中は光の状態がよくて夜に急速に冷え込むことで葉のアントシアン缶¥茶の合成が進む。日光を充分に受けるためには空気の澄んでいることも大切な条件で、更に適当な湿度も必要とする。又銀杏が黄寒するのは気温の低下で葉の緑色の色素が減って黄色色素の割合がふえて黄変する。いけばなの方では旦f、から日光と紅葉のメカニズムに気付いて、楓は梢の方から色付いて行くのを知っていた。気温が下がる頃、まず日光をよく受けた梢の方から紅葉しはじめて間もなく上の方が落葉して下の葉にも日光が当たるようになってはじめて中程、下部へと紅葉が進む。立花や生花での紅葉は上部が紅葉、下部が緑葉とするのは、そうい、っ生態を知ったことから始まった。花材雪柳赤椿花器手付竹鍾二月初10

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