1月号
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初:ft. らでん暦初子のHは新暦の一月十七日)新春、初子の日に、小姫君が庭の小松を引いている。そこに母の明石の上から贈物が届いた。(今年の旧小松の枝に小さな鷲をとまらせた作り物に果物やお菓子、そして手紙として和歌が添えられていた。年月をまつに引かれて経る人に今日うぐひすの初音きかせよ別かれて住む八才の小姫君への便りである。平ム女時代に宮廷で育った子供ならこの和歌を充分理解し、返歌を作るぐらいの素養はあっておかしくない。文化の程度を計る物差には様々な種類の尺度がある。現代は一体どんな物差が使われているのだろう。花材小松紅梅花器朱塗渦巻文螺鍋角瓶結納と看板のかかった店の飾り窓、金銀紅白の水引で作られた松に梅や竹の立派な細工物が恭しく置かれている。一体どんな風に作られているのか、不思議な思いで暫らく立ち止まって見入ってしまう。京都の結納屋さんは、長い年月をかけて完成された様式、そしてそれを現在でも作り上げる技術を持って源氏・拾花春秋より〈2頁の絵V水引細工〈3頁の花V3

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