12月号
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(こけつつじ)苔附関白枯栴下花器土色花瓶ん」田守つ。苔梅、苔松、或いはこの頁の苔脚蹴といった枝物は花をいける者にとって大変魅力のあるものである。一口に苔といっても色んな種類があり、岩につく苔、庭の杉苔、梅の枝につく梅の木苔等生える場所も様々である。枝物につく苔の代表的な研類は、梅の木苔で、北海道を除く各地に生え、梅、松、州等の肯木につく。よく似たマツゲ苔も山地の樹皮につき、唐草苔、紐梅の木苔、リボン苔等紐状になって生えるものもある。一本の樹に何冊矧もの苔がつく乙ともあり、上の苔脚聞にも樹皮についた苔と一緒に枝から垂れ下がる苔もついている。サルオガセやカラタチ苔とよばれている桔類である。サルオガセは針葉樹林によく見られる府類で大木の枝から垂れ下る姿は壮観である。アメリカの友人を苔寺に連れて行ったところ一向に感心した様子もないので訳を聞くと、彼の故郷のノlス・カロライナの苔はもっとすばらしく、地面から樹幹にかけても色々な苔がつき、大木の枝から垂れ下がるサルオガセ等の苔の樹林はこんなうすっぺらなものではないと自慢していた。実際日本でも大台ケ原や、富士山の青木ケ原には見事な苔の原生林を見るζとができるが昨苔類は大気の汚染に弱く京都近辺の苔庭もその維持が大変だろう正月のいけ花に苔松や苔梅が沢山用いられるが、大方は苔を糊で川りつけたもので、時には苔が足りなくて斡同から輸入して貼っているという話も聞く。苔付きの文人松とよばれる良い松は近年僅かしか出荷のないもので、本物を置いている花屋はどく少ない。あればびっくりする位高い値段がつけられている。お正月にわざわざ偽の苔松をいける乙ともないと思うが中々よく売れているようである。上の苔蜘聞は四国の山奥から山荷されたものらしいが良い苔がのり、枝ぶりもよくしまっている。海芋ととりあわせてみると枯れた感じと、みずみずしさの対照が必人と優しい女性のように見える。このとりあわせをまとめるのに白椿を使ったが、その開花二輪は目立たないようにいけている。格の代りに何か他のものを考えるなら一一一光松も良いだろうが少し感じが追って見えるいけ花になるだろう。帰花や投入れでは、とりあわせでそのいけ花の表情がきまる。例えば乙の花の椿を三光松にとりかえると松葉の若々しい緑と海芋が結びつき、ほの暗さのある花から明るい花に変って行く。椿の葉の』脳い緑と、苔騨闘の古色の結びついた問での海芋とは感じが違ってくる。微妙なうつり変りであるが、頭の中でその違いを想像していただきたい。苔蹄燭4

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