11月号
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ザクロは石棺の音読みがなまったものとされている。重量のある銅製花器に剣山を入れ支柱を立てて柘棺の枝を太針金で折りつけている。ヒ脳杜協の枝垂れる形を桁栂にそわせて、白の糸菊を長く前へ伸ばした。高く三輪並んで見える真ん中の糸菊は、短く後ろに引いている。Eすテキスト九から十一息すにかけて、私は三号とも鶏頭をいけている。さほど好きな花ではないのだが、秋になると、平凡な夏の鶏頭から、急に種類が増え、秋らしさを感じさせてくれるように思う。花色はカラフルになり、形もひときわ目立つ。そして葉が艶やかに広がり緑が美しい。毎回違った鶏頭と出会い、ついひかれて買ってしまった。作例のおばけ鶏頭は花色がシックで落ち着いた秋の色。形もそれぞれ面白く沢山の花からこの=末をすぐに選んでしまった。どれも優しい花色なので、赤く紅葉した丸葉の木をとり合わせた。鮮やかな枝をあえて立ち枝として使い、葉の面を平面に見せて、鶏頭の色と形を強調させた。安定のよい花器を選び、大きくて重い剣山を使う。鶏頭も丸葉の木も意外と前に張り出しているのだが、この二種類、だけで迫力ある盛花にするためである。鶏頭〈3頁の花〉酬明子3

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