11月号
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春には新しい葉がのびはじめ、初夏にはもう一人前の風情を湛えて微風に揺れている。何故好きなのか考えても焦口えは出てこない。反対に嫌いなものは、その嫌いな理由をすぐに答えることができる。庭の薄込者葉の頃からいけはじめ、仲秋には名月に供える。そして初冬の枯薄は切りとって大事に包んで軒下に吊るしておく。立花の作例に使ったのは去年の十二月に切りとっておいた薄である。自然に枯れて乾いたものなので硬直したような感じがなく、軽く柔らで温かみがある。水仙の初花が花屋に並ぶ頃、庭の斑入りどくだみが紅葉し、社関草が咲きはじめる。薄の兵を入れて八種類もの花材を使っているが投入や盛花ではうまくまとまらないだろう。それが立花の面白みでもある。正真水仙の実流枝杜鵠草前置白菊控枝斑入どくだみ見越杜若の葉花器枯薄薄は私の好きな花の一つである。副薄の枯葉宵穏香炉真枯薄請槍扇ほととぎす胴淡紅菊7

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